Table of Contents
ディストピア
"1984"は1949年にジョージ・オーウェルさんによって刊行された、ディストピアSF小説です。
"ディストピア"とは"ユートピア"とは反対の"反理想郷"のことであり、
"1984"では、全体主義国家に情報を支配された近未来の世界の恐怖が描かれています。
1984
George Orwell
本の刊行時点で1984年は近未来ですが、2021年の今では37年前になります。
72年前の1949年にこのような本を創作する作者の先見性には驚かされます。
本書の世界
本書の舞台は1950年代に勃発した第三次世界大戦(核戦争)後の世界、世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアと呼ばれる3つの超大国によって支配されています。
1984年のロンドンはオセアニア国にあり、そこで主人公であるウィンストン・スミスは真理省と呼ばれる、歴史を改ざんする政府機関の下級役人として改ざん作業を行っています。
あるきっかけでこの体制に疑問を持った主人公はある女性と知り合うことで、政府の真理を知り思想が変化していく過程が描かれています。
Big Brother
オセアニアは”Big Brother(ビッグ・ブラザー、偉大なる兄弟)"なる謎の独裁者をリーダーとする党で支配されており、人民は”思想警察”によって徹底的に監視、管理された社会での生活を余儀なくされています。
”Big Brother”は今、思想や社会を操る謎の支配者、支配組織の代名詞としてよく使われています。
現代のディストピア
ディストピア小説の代表作とも言える”1984”は、長年読まれてきましたが、改めて注目されています。
今年はアップル社と人気ゲーム”フォートナイト”の制作会社であるエピックゲームスとの独占禁止法に関する裁判が話題になりました。
アップル社は"エイリアン”、”ブレードランナー”で有名なリドリー・スコット監督に依頼して”1984”のテレビコマーシャルを作成、1984年のスーパーボウルの時に放映しました。
アップルのPCがIBM PCによって支配された世界からPCユーザーを解放するといったメッセージがある革新的なCMでした。
しかしながら、現在はGAFAMと呼ばれる巨大IT企業によって、情報が独占、管理される世界への懸念が議論されてます。
アップル社との裁判を起こしたエピックゲーム社は皮肉を込めて、1984年のコマーシャルを模倣した以下のようなCMを作成しました。
まとめ
この小説が描いた“1984年”のように、”2021年”の現在は全体主義国家による管理、監視、情報の改ざんがあることが懸念されています。
本書を読むことによって改めて、情報のみに振り回されないこと、自身でしっかり考えることが必要であると感じました。