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米国はCOVID-19とどのように戦ったのか、The Premonition : A Pandemic Story(最悪の予感─パンデミックとの戦い)

作者

”The Premonition : A Pandemic Story”は、このブログで紹介した”Flash Boys"や"THE BIG SHORT"の作者であるマイケル・ルイスさんの最新作です。

本書は2019年に始まり、いまだ収束していないCOVID-19とのアメリカにおける戦いについて記されたノンフィクション作品になります。

THE PREMONITION -

A Pandemic Story

Michael Lewis

これまで金融に関する本が多かった著者ですが、これまでとは異なるテーマを取り扱っています。

米国の対応

米国では、連邦政府が指揮をとり、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)、FDA(アメリカ食品医薬局)が製薬会社と協力して、これまで少なくとも数年はかかっていたワクチンの開発、治験、承認を完了したことというすさまじい成果を達成しました。

しかしながら、2020年のアメリカに関する報道は実際に起こっていことの一部、特に感染者数や死者数が主な関心事となっていました。

ニュースだけでは小さな失敗の積み重ねがあり、システムがどのように働いていたかの情報はすべてが伝わりません。

2021年になってようやく成功と失敗の本質がわかり始めてきました。

報道だけでは知ることができなかった問題について、本書を通して知ることができます。

システムは人と動く

日本でもたびたび公的機関の対応やシステムの不具合で物事が進まないことが問題となり、報道されてきましたが、米国においても同様の事態が起こっていました。

人間関係や個人の感情、組織及び個人の意見の対立によりうまく進まなかったができなかった事例が具体的に挙げられています。

医療制度

米国の医療制度については、技術と設備は世界一、保健医療制度は三流国と呼ばれることがあります。

夢のような国のイメージがありますが実際に住んでみると、医療保険の有無で大きな格差があることを思い知ることになります。

今後の期待される治療薬についても医療保険制度の問題から、大変な道のりになるのではないかと思います。

保険がない状態で歯の治療をするには、アメリカから日本に帰国した方が安くつくといった、笑えない話を聴きます。

日本の対応も紹介

また、日本におけるダイヤモンド・プリンセス号における対応を称賛していますが、日本国内では報道されていた、船内の動線の分離や下船した後の帰宅方法の対応の問題については記されていませんでした。

これは日本の現場や関係者への直接取材ができなかったのでが理由ではないでしょうか。

まとめ

問題があったとしても、ワクチンの開発から投与まで”ワープスピード作戦”と名付け、連邦政府機関と民間が総力を尽くして達成することができました。

本書のように問題点についてもきちんと伝えることができることを考えると、米国の良さを感じます。

次の危機に備えて、どのように考え行動するために記憶に残すための本だと思います。