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FLASH BOYS:”10億分の1秒の男たち”、HFT(超高速取引)とは何か?

テーマについて

"FLASH BOYS"は、SFヒーローの物語ではく、社会経済・技術に関するノンフィクションの書籍、日本語版の副題は”10億分の1秒の男たち"となっています。

FLASH BOYS

Michael Lewis

暴落

ここ最近、中国不動産会社の債務のニュースなどにより、株価が激しく変動しています。

リーマン・ショック等、株価の大変動は経済・社会における問題が主な引き金となりますが、この小説では高速コンピュータ取引の隠された真実と問題が描かれています。

作者

この本の作者は、マイケル・ルイス

お金をテーマとした作品ものが有名で、ブラッド・ピット主演でアカデミー賞を受賞した"マネーボール"、リーマン危機を舞台とした"マネー・ショート華麗なる大逆転"が映画化されています。



10億分の1秒

現在の株式取引は、コンピューターアルゴリズムを用いた高速取引が大半を占めており、有利な取引をするためのアルゴリズムを開発するため、数学者、技術者がしのぎを削っています。

そこで登場したのがHFT(High-Frequency Trading)と呼ばれる取引です。

HFTは高速光回線を用いて、通常の取引が処理される処理中に超高速で買い、高く売る行為を繰り返すことで莫大な利益を得ることを可能とします。

より速く、よりまっすぐに

HFTを有利に進めるには、いかに速くウォール街と通信することがカギになります。

この小説に描かれているように、とにかくまっすぐに光回線を通すための競争が繰り広げられています。

同様のテーマを扱った、"ハミングバード・プロジェクト”という映画も制作されています。

高速光回線をできるだけまっすぐ通すためにの工事、土地の買収など、とにかく苦労が多く、莫大な費用が掛かるプログラムなのですが、HFTによって得られる取引が大きいため様々な人が実行していました。


HFTに対抗

HFTを使った機関投資家が莫大な利益を得るなか、Royal Bank of Canadaに勤務していた日系カナダ人のBrad Katayamaがその不公平さに気づき憤慨します。

そこで公平なマーケットを目指し、HFTに対抗するプログラムを用いて、独立した取引所、IEX(Investors EXchange)を立ち上げる過程がこの本の主題となります。

Flash Crash

高速取引の影響により、株価の急暴落が起こる事象が2010年5月6日に実際に発生しています。

これはフラッシュ・クラッシュと呼ばれる出来事で、この時の映像がYouTubeに残っています。

当時はギリシアの経済危機が大問題になっており、映像の左側はアテネの状況を映しています。

ギリシアのニュースの最中、突然ダウの値が急降下、キャスターや解説者も原因がわからず大混乱に陥ります。

しばらくして不思議なことに、突然値が急上昇を始め、出演者のリアクションも???となっています。

当初、これはギリシアの問題が発端となったとも考えられていましたが、結局あるアルゴリズムの影響によって発生したことが判明しました。

この出来事について記した"Flash Crash”については、次回紹介します。



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