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はじめに
『Permanent Record』は2019年に刊行された、エドワード・スノーデン氏の自伝です。
著者は2003年、19歳でアメリカ軍に志願、イラク戦争に従軍しましたが大けがを負ったことにより除隊することになります。
その後、情報工学に堪能であったことからアメリカ中央情報局(Central Information Agency, CIA)や国家安全保障局(National Security Agency, NSA)で情報処理技術者として勤務します。
Permanent Record
Edward Snowden
日本の横田基地で勤務していたこともあったそうです。
告発
NSA、CIAの勤務中、彼は機関の諜報活動の内容に次第に疑問を持つようになります。
そして、2013年香港のホテルで英国のメディア『ガーディアン』に後述の”PRISM”プロジェクトを含めた機密を内部告発しアメリカを追われることになります。
告発時の状況はドキュメンタリー映画『シチズンフォー』で、彼の半生は『JFK』や『プラトーン』を監督したオリバー・ストーンさんによって映画化されています。
スノーデン氏はその後亡命、現在はロシアに在住してます。
NSAの活動
NSA(National Security Agency)は1949年に設立されたアメリカ国防総省の情報機関、海外の諜報活動が主な任務とされています。
- アメリカの諜報機関を代表する存在といえば、映画やドラマに良く登場する中央情報局(CIA)ですが、NSAはその目的と活動内容が地味な印象であまり話題になることがない機関でした。
→ 機密だらけのNSAは“No Such Agency(そんな機関は存在しない)“や、“Never Say Anything(絶対何も語るな)“の略と揶揄されています。 - NSAの活動範囲はあくまで海外であり、米国内のアメリカ国民に対する盗聴行為は違法となります。
※ テロ対策の名目から、海外の人物や組織への盗聴は、2007年に成立した"Foreign Intelligence Surveillance Act of 1978、外国情報監視法、通称FISA(ファイサ)"によって合法となりました。
しかしながら、情報技術が急速に発達した近年、ウィル・スミスさん主演の”Enemy of the State(エネミー・オブ・アメリカ)”やドラマ”24 -Twenty Four-"のように、ネットワークを駆使した追跡を逃れることができない不気味な機関として描かれるようになりました。
コードネーム:”PRISM”
NSAの内部告発時に発覚した事実の一つに、"PRISM"監視プログラムがあります。
”PRISM”は大手IT企業を経由してメール、電話、位置情報からアメリカ国民の情報を収集していました。
その内容、データ収集の方法、協力しているIT企業のロゴが記載されているパワーポイントファイルが公開され、大きな話題となりました。
パワーポイントファイルの一見稚拙なつくりのもある意味話題になりました。
わざと偽物らしく作るテクニックかもしれません。
まとめ
本書はまさに映画のような内容ですが、実際にあった事実が技術者である著者が淡々と語っていることが印象的です。
明るい国のイメージのアメリカですが、その深い闇を本書で知ることができます。
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