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情報を視覚的に伝える:”Infographics(インフォグラフィクス)”とは

はじめに

以前の記事で"Plain English”や”テクニカルライティング”について紹介してきました。

これらは、情報をいかに正確かつ簡潔に伝えるという目的があります。

その学習の過程で見つけたのが、”Infographics”という言葉です。

Infographicsとは

”Infographics(インフォグラフィクス)”とは、情報を言葉だけではなくイラストや表を加えて視覚的に表現することで、よりわかり易くさせる手法です。

Infographicsに関する書籍も発売されています。

THE BEST AMERICAN INFOGRAPHICS

Introduction by Maria Popova

英語学習の参考になるのはもちろん、美しく洗練された表現を眺めているだけでも楽しめる書籍です。

言葉と情報

情報を伝えるための代表的な手段である”言葉”ですが、この伝達方法はあくまで伝えられる側がその言葉を知っていることが前提です。

また、SF映画や小説で異星人といかにコミュニケーションするかがテーマとなることが良くあります。

以前紹介した、テッド・チャンさんが著者の『あなたの人生の物語』に収録された同名小説をもとに作られた映画、
『メッセージ(Arrival)』は特に情報を伝えることに焦点を当てた作品になっています。


実際の宇宙開発においても地球外生命体に”地球と人類”と言う存在をいかに伝えるかについて本気で考えられており、
1972年、1973年に打ち上げられたパイオニア探査機には、"パイオニア探査機の金属板(Pioneer Plaque)"と呼ばれるインフォグラフィクスによる情報が搭載されています。

情報を伝える困難さ

地球外生命体に情報を伝えることが困難であることは、想像しやすいことですが、地球においても未来の人類が現在の言葉を知っていることは限りません。

この課題が大きな問題となったプロジェクトがあります。

そのプロジェクトはフィンランドのオルキルオト原子力発電所に併設された放射性廃棄物処分場である、『オンカロ』です

この処分場は強固な岩盤でできた地中深くに廃棄物を貯蔵するという、単純かつ効果的と考えられる方法に思えますが、ここで大きな課題が生じます。

何も伝えずに廃棄物を隠していた場合、偶然発見された場合に危険が生じる。

例えば10万年後の人類がこの土地を発見した時に、危険であることをどのように伝えるのか。
→ そもそも10万年後も同じ言葉を使っていることは誰もわからず、

”危険”と表示しても逆に宝物が隠されていると思われる可能性がある。

このプロジェクトに関する映画、『100,000年後の安全(Into Eternity)』で、関係者がこの課題について真剣に議論する場面があり、情報を伝えることの難しさを知りました。