English Audiobook Blog

世界経済の破綻に賭けた人々:”THE BIG SHORT(世紀の空売り)”

アカデミー賞

"THE BIG SHORT"は2010年に出版された、マイケル・ルイスさんが著者の本です。

THE BIG SHORT

Michael Lewis

2015年に映画化され(邦題”マネー・ショート 華麗なる大逆転”)、アカデミー最優秀脚本賞を受賞しました。

ショートとは

題名にある"ショート”は、日本語では”空売り”と呼ばれます。

株式で儲けを出す方法は安い時に買い、高い時に売ることが基本の”現物取引”が一般的なイメージだと思います。

しかしながら、

  • “ショート(空売り)”をごくごく単純に説明すると、株価が下がると利益が出る取引です。
  • うまくいくと大きな利益を得ることができますが、株価が予想に反して上昇すると、損失が青天井になってしまいます。

本書は”世界経済の破綻=リーマン・ショック”が近づいていることに気づき、それに賭けた3組のグループについて記したノンフィクション作品です。

終末兵器

本書の副題は”Inside the Doomsday Machine(終末兵器の中)"です。

"リーマン・ショック"は日本にも大きな影響を与え、アメリカでは住宅ローンをベースにした債権が破綻したため、多くの人々が住む場所を失いました。

この危機は全世界に終末兵器が作動したぐらいのダメージを人々に与えたことから、英語では一般的に”The Global Financial Crisis"と呼ばれています。

ちなみにリーマン・ブラザーズ社の名を冠した”リーマン・ショック”は和製英語です。

良心の呵責

全世界の経済が破綻することで大きな儲けを得た主人公たちですが、そのことを黙っていたわけではありません。

住宅バブルがいずれ破裂することを、数字と実態を調査することで導き出した予想を多くの人が信じることがなく、バブルに邁進し続けることに大きな疑問を持ち続けていました。

結果、主人公たちは世界経済に対する賭けに勝ち、大きな財産を築くことができたのですが、投資の世界から去って穏やかな生活に移る人もいました。

単なるサクセスストーリーではなく、主人公たちの葛藤も描いた読み応えのある作品です。




1 COMMENT

現在コメントは受け付けておりません。