Table of Contents
著者について
"The Doomsday Machine"はアメリカの経済学者、核戦略研究者、平和運動家であるDaniel Ellsbergさんが2019年に出版した書籍です。
Daniel Ellsbergさんは、ハーバード大学経済学部を卒業後、ケンブリッジ大学に入学、その後アメリカ海兵隊に入隊、中尉で退役しています。
その後、ハーバード大学、軍事戦略の研究機関であるランド研究所を経て国防総省入りしました。
The Doomsday Machine
Daniel Ellsberg
著者の経歴からは、軍事の超エリートといった印象ですが、ある事件から人生が変わります。
ペンタゴン・ペーパーズ
1971年、ベトナム戦争に関する国防総省(ペンタゴン)の秘密文書である”ペンタゴン・ペーパーズ”を新聞社に持ち込んで暴露し、反戦を世間に訴えます。
この事件により国防機密漏洩罪に問われて起訴されますが、控訴棄却の判決を受けます。
危うい核管理
本書では米国の核戦略計画、都市を破壊した場合の被害の試算を行ったこと、海外を含む基地の現場の実情について内容を暴露しています。
完璧であるべき核管理ですが、現場では多数の人間がかかわっているゆえに発生するずさんさ等について警告しています。
米国で以下のような核に関する危機の事象が発生しています。
1962年:キューバ危機
1965年:アーカンソー州の核ミサイルサイロにて火災発生
1980年:アーカンソー州の別の核ミサイルサイロにて爆発事故発生
1950年から1980年の間に、核を載せたB-52爆撃機(写真)の墜落事故など、損失事象”Broken Arrow”が30件以上発生。
旧ソ連では1983年、核攻撃警告システムの誤動作により、報復ミサイルの発射の一歩手前まで進む事象が発生していました。
この時は現場担当者の技術的な知識と冷静な判断で危機を脱することができました。
YouTubeでも紹介されています。
まとめ
どれだけ優秀な人たち、組織、システムを確立していると信じていても、現場の勘違い、単純な報告ミス、そして判断を下すトップの判断力、健康状態によって人類の運命が左右されるという危うい状態であることを警告している書籍です。