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はじめに
4月になって原料価格の上昇や円安などの影響から物価が上がっているにもかかわらず、賃金は上がりません。そこで、賃金について考えさせる書籍を紹介します。
本記事の『Nickel and Dimed』はBarbara Ehrenreichさんが2001年に刊行した書籍です。
Nickel and Dimed
On (Not) Getting By in America
Barbara Ehrenreich
潜入ルポ
本書はいわゆる”潜入ルポ”と呼ばれる書籍です。
潜入ルポとは取材するという目的を隠し、取材対象の場所で実際で働くことで情報を得る手段です。
潜入ルポで最も有名な書籍は1973年に刊行された、鎌田 慧さんの『自動車絶望工場』です。
作者は自動車組み立て工場の季節工として実際に働き、当時の過酷な労働について記しました。
また、近年で最も有名な潜入ルポの作者は、横田 増生さんです。
ユニクロに対する取材で有名になった著者は、離婚して妻の家に婿入りすることで苗字を変え、ユニクロの面接を受けて一年間働きました。
そして最新作ではアメリカに渡り、トランプ信者の潜入取材を行っています。
Nickel and Dimed
『Nickel and Dimend』の作者はカリフォルニア大学バークレイ校を卒業し、博士号を持っていますが、働き口での面接ではそのことについて当然伝えません。
レストランの給仕、ホテルのシーツ交換を行うなどの給料が安い仕事を、住む場所を変えながら、時には車の中で生活し、取材を進めました。
Nickelは5セント硬貨、Dimeは10セント硬貨の別称で、『Nickel and Dimend』とは適正ではなく低い給与で従業員を働かせることです。
まとめ
現在のアメリカは、本書が刊行された時2001年と大きく変わり、政府からの支給金、そして人生観の変化により大量の離職者の発生、いわゆる"Great Resignation"現象が起こっています。
この現象により、取材時には給料の安かったレストランなどでも、賃金をいくら上げても人が集まらない事態になっています。
皮肉なことに、現在は日本が給与が上がらない社会となってしまいました。